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1/6サイズの本革ラムレザーでできたビザールキャップは、世界でもビザールクイーンだけのレアアイテムです。
さて、セカンドシーズンの商品の展開で気づいたことなどを少し、バックステージの形でご案内しようと思います。今回、やっとビザールクイーンの象徴ともいうべき、それでいて、まったく市販されていない希少なビザールキャップを1/6サイズでありながら本革のラムレザーで作ったわけですが、その過程でいろいろ試行錯誤しながら考えたことがあります。
今回、最終的なカタチにもっていく過程で本当にいろいろな試作品を作りました。最終的なゴールは、どうしたらリアルなビザールキャップにできるか…という一点に絞られました。まず、裁断パターンですが、たしかに、試行錯誤はしましたが、それほど苦労したわけではありません。それよりも、一番苦労したのは、リアルに見えるように、顎のチン・ストラップを1/1サイズの実物同様に二重にして、ストラップ通しもつける、ふち周りに実物同様ミシンで縫う、、、などのできるだけ実物と同じにすることでした。
ところが、ここで問題になるのが、1/6スケールという絶対的な制約です。これは、開発コンセプトの特集ページでも述べましたが、何でもかんでも実物同様にする手法が、必ずしもリアルになるわけではないということです。つまり、わかりやすい例で言うと、服地は通常、表地と裏地があるわけですが、これをそのまま1/6スケールに持ち込むと、どうしても生地厚の現実的な問題に直面します。技術的には、裏地をつけることは、ミシン縫製上は可能です。しかし、これをやるとどうしても表地と裏地の生地厚プラス、縫うための折り返し部分が加わるので、4倍の厚みになります。極力薄地を使って、0.5mmまで抑えたとしても結局、合計2mmになります。これは、1/1スケールに直すと、12mmになります。皆さんが着ている服は、生地の厚みが1cm以上もありますか?無いでしょう。鉄板のよろいになります。だから、1/6スケールのフィギュアで、形式的なリアルに拘ると、着せた服がごわつく、あるいは、分厚い板のような感じになるのは、避けられません。
およそ、世の中には、2種類の人間がいるようです。ひとつは、物理的に絶対的なリアルを求める人。一方は、感覚的なリアルを求める人。10年ほど前に、3DCGのモデリング作業をしていて、奈良東大寺の仁王像のコンピュータモデルを作ったときのことです。皆さんは、修学旅行などで多くの方が一度は、仁王像の阿吽の2対の巨大な彫刻をご覧になったことでしょう。そのとき、リアルに思いましたか?私なんかは、躍動する筋肉と威圧感に、木の彫刻でここまでよくリアルに表現できるものだと感動したのを覚えています。そこで、いざ、3次元CGでモデリングしたわけですが、どうしてもあのような迫力あるリアル感がでない。ひょろい…。困って、本屋へ資料を探しに行ったら、ちょうど解体修理の記録をまとめた本があり、その写真を見て驚いた!実は、運慶は、迫力あるリアルな造形をするために、あえてデフォルメして計算したうえで彫刻したのです。したがって、正面から見ると、いかにも迫ってくるような迫力ですが、そのために、極端にありえないくらいの胴長短足にほることでデフォルメしたわけです。その結果、人体としては、まったくの非リアルな形状なのに、結果として超リアルに感じさせる…。この点で、実際の人体形状を元に筋肉だけであのような迫力を出そうと努力していた私は、運慶の発想に衝撃を受け、以後の物の考え方に大いに影響を受けたのでした。
以上のことから、1/6スケールという現実的な制限のなかで、形式的なリアルに拘らず、できるだけ直感的にリアルに感じられたら、それでいいじゃないかという手法が我々ビザールクイーンの考え方なのです。そうすると、当初、できるだけ実物同様の製造形態でビザールキャップも試作したわけですが、どうしても物理的な厚みなどから、フィギュアに着せてもリアルに見えない。キャップ単体としては、実物同様の製作手法でできているわけですが、チンストラップにしても、実物同様二重にしてスライド可能にするとどうしても、2mmくらいになる。実物スケールにすると、1cm以上ですから、不自然なのは当たり前ですね。1cm以上の棒のようなチンストラップのついた帽子などあるわけない!そこから、逆に減らしていくわけです。これは、思い切ってシングルのチンストラップにしよう。そのほうが、自然な厚みに収まり、フィギュアにかぶらせても不自然どころか、超リアルに見える。冒頭のサンプル写真をご覧になって違和感を覚えたでしょうか?ご覧になった大半の方は、自然に見えたと思います。
こうして、形態的なリアルから、不自然に見えるものを減らしていくことで最終的な縫製パーツ、縫製方法が決まるわけですが、そこで、最後に気づいたことは、リアルなカタチに人間の手で仕立てることで完成するということでした。下の写真をご覧ください。通常、裁断パターン、縫製方法、使用パーツまでが決まれば、まあ、熟練の縫製職人なら左のような商品にすることができます。一般的には、この状態で市販されるわけですが、ちょっとこれでは悲しいでしょう。あと、もう一息魂を入れると、右のような生きたビザールキャップになるわけです。ただ、これは、マニュアル化できないのです。つまり、仕立てる人が、はっきり頭の中に完成品の形、それも美しい形が見えている必要があるのです。その前提は、映画やAFVの資料、あるいは、実際のWW2のドイツ軍の粋な将校たちの写真などのイメージが蓄積された上で、仕立てる人の感性とマッチして初めて、カタチを仕立てる作業にフィードバックされるわけです。具体的に、ここはこの角度で、この厚みでこのイメージで…などと文章化、あるいはことばで伝えることはできないからなのです。それだけに、こつこつプレスの強さを徐々に変えながら、何度も何度も革を丹念に伸ばしていくことで、仕立てる本人の頭の中にある完成形に仕立てていく…。1/6スケールの小さなビザールキャップではありますが、そういう奥深い造詣も含めて一人でも多くの方のお手元に、お届けできればいいなあと思います。
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