レザー皮革の知識解説ページ

いったい、「革」とはどんな素材でしょう?
「皮」と「革」。実は、これらの言葉は、まったく別の意味をもっています。「皮」(skin、hide)は、生き物の皮膚のことで、「革」(leather)は、こうした生き物の皮を腐らないようになめした素材のこと。したがって、靴や鞄、ウェアなどに使われる素材の場合、「革」と表記するのが正しいのです。
高級ソファからウェア、靴、バッグ、財布小物まで広く使われる素材「革」。
せっかくの革製品を楽しむのなら素材としての「革」について、ここで知っておきましょう。

●革の構造

通常、私たちが見ている革の表面のことを”銀面”、裏側の面を”床面”といいます。写真は、カーフ革ですが、厚みは約1.2mmほど。これを実際に使用する目的に応じて、この床面を漉き割り(すきわり)という作業で、スライスすることで2分割して、薄くします。.

革の銀面

革を漉き割りしたもの

●漉き割り

一般的に財布小物類は、1.2~2mm、ベルト等は、4mmくらいです。写真は、1.2mmのカーフ革を銀面を0.5mm、床面を0.7mmに漉いた実例。しっかりしたコシのある、牛革にくらべてラムなどのやわらかい革は、至難のわざで、熟練の技術が必要です。
特に、1/6フィギュア系ではスケール的に自然なリアルさを追求すると、どうしても厚みが0.5mm前後になりますが、商品によっては、0.2~0.3mmといった限界ぎりぎりまで必要になることもあります。ただし、ここまでくると、破れる危険が大きいのでやってくれる業者は、あまりいません。

●自社での漉き割り加工

通そこで、しかたないので弊社では、漉き割り機械を導入して、自社で1/6フィギュアに最適な革素材を創り出すことにしました。数年にわたる試行錯誤を重ねて、蓄積したノウハウをもとに、いまでは、そのデザインに応じて、各部分に最適な革素材を必要な厚さになるよう、自由に自社加工することでよりリアルな1/6スケールのレザーウェアを開発しています。.

自社での漉き割り加工

革表面のシボ

●シボについて

一さて、もうひとつの特徴として、革の表面にある小じわ、模様のことを”シボ”といいます。生後すぐの仔牛、仔羊ほど少なく、成長すればするほど多くなります。これは、人間もいっしょですね。革は動物の皮膚を加工した天然の素材なので当然、その表面にはその動物が持っていた自然の痕跡が残っています。
たとえば、皮膚表面の傷や、皮膚のたるみからくるシワなど。人工皮革には無い、こうした、天然の革だけがもつ自然な風合いを自然の証として、愛すべき革特有の味、表情であると理解していただきたいと思います。。

●”なめし”とは?

動物の皮から革に変えるための加工方法のことを”なめし”といいます。動物からとった皮は、そのままにしておくと腐ったり固くなって使えなくなるからです。現在、古くから行われている自然の草木の渋汁を使う”タンニンなめし”と、金属を使って化学的に処理する”クロムなめし”の2つがあります。
植物タンニンなめしは、自然処理なので1~3ヶ月と時間がかかりますが、仕上がりが良いです。一方、クロムなめしは時間が早いので生産性が良いため、現在では、この方法が主流です。写真は、タンニンなめしに使う、革を漬け込むビット槽といわれる、大きな樽です。。.

なめし加工用のビット槽

なめし加工中の革

●革ができるまでの工程について

一革ができるまでの工程としては①原皮の輸入(この段階では、腐敗防止のため塩漬けの状態です) 日本では、豚革以外は80%が輸入です。②下準備…原皮に付着している体毛や脂肪、 血液などの汚物と防腐処理の塩分を除去します③なめし④染色、仕上げ…染色、塗装や、型押し、艶出しなどの各種加工処理をします。⑤計量…革の大きさを計量します。以上を経て、製品革となります。なお、このような皮革製造業者のことをタンナーといい、英語のなめすを意味する”tan”が語源です。世界でも日本のタンナーの技術は非常に優秀です。

●革の基礎単位

革の大きさを表す単位は、①デシ…10cmx10cmの広さを1デシという単位であらわす。日本で使われる。ラムでは40~50デシ、牛革では240デシ前後が多い。②スクエアフィート…1ftx1ftの広さを1スクエアフィートという単位であらわす。海外で使われる。1ft=30.48cm 1sqf=9.29ds
したがって、写真のように、海外から輸入した原皮を日本でなめした製品革はデシ表記、海外でなめされて製品革として輸入されたものはスクエアフィートの表示になります。ちなみにグレーが12.9、赤が11.6sqfと表記されています。。。.

革の単位、デシとスクエア